Pocket

手のひらから汗がしたたり落ちるほどの手掌多汗症のせいで仕事に支障を来している方、特に手汗レベルが高い方は、一度は手汗対策として多汗症手術について検討したことがあると思います。

多汗症の治療手術は確実に手汗を止める効果が得られる反面、代償性発汗という副作用・後遺症が100%現れると言われている治療法です。
そんな代償性発汗について以下にまとめました。

代償性発汗とは

代償性発汗はその名の通り、手汗を止めた代償として他の部位から汗が多く出てしまう症状を指しています。
せっかく手のひらの汗が止まっても、他の部分の汗が大量になってしまうことで、さらなる悩みを抱えてしまっている方も少なくありません。

原因

代償性発汗は主に掌や顔面多汗症治療のためにETS手術(胸部交感神経遮断手術)を行った患者さんの後遺症として報告されているものです。
日本皮膚科学会によっても、交感神経遮断術の代償性発汗によって日常生活に支障をきたす場合があると説明されています。

その主な原因は交感神経のフィードバック不良によってもたらされるものです。

人間は暑い時には汗をかくように体が出来ているのですが、汗をかく際には交感神経から脳の視床下部へ向けて「発汗させた」という信号も同時に送られています。
これによって視床下部は発汗量のコントロールをしているのです。

ETS手術などにより交感神経の働きがブロックされてしまうと、同時に視床下部へのフィードバックも届かなくなってしまいます。
つまり、「発汗させた」という情報が視床下部へは届かず、汗の量のコントロールが効かなくなってしまうわけですね。

その結果、汗をかくように指令が行き届いた部分・・・多くは背中やお腹の汗、まれに脇汗が流れ続けるようになってしまうのです。

この仕組みだけを見ると、暑い時にかく汗(温熱性発汗)のみに起こる症状だと思われがちですが、実際には緊張した時などの手汗(精神性発汗)でも代償性発汗が起こる例が挙げられています。

また、代償性発汗という名前から「体外に出られなくなった汗が、出られる汗腺を探して排出される」かのように扱われることもありますが、医学的な観点からするとそういうことではないそうです。
つまり、ワキガ手術のように神経回路に触れず、汗腺のみを破壊(切除)するような場合には代償性発汗は起きないと言われています。

ただし、あくまでの現代の手汗に関する研究においての常識であって、「交感神経遮断術でなければ代償性発汗は確実に起きない」と断言できるかに関しては疑問の余地が残るところです。

懸念される事項

代償性発汗が起きる部位は、個人差はありますが、手汗の交感神経遮断術の場合だと背中やお腹、または足(太腿や足裏)になります。
これは上半身の顔、脇、手のひらに発汗させる交感神経を遮断することにより、それ以外の部分でのフィードバック不良が起きるためです。

顔や手に汗をかかなくなった分、普通に生活をしている分には汗をかかない、涼しそうな顔をしている人に見えるかもしれません。
ですが、その分背中やお腹に触れている服はビショビショになるほどの発汗が起きてしまいます。

今までは手汗についてのみ悩んでいたので、服がビショビショであることの恥ずかしさは実際に代償性発汗が起きるまでわからなかったという方も多いのが事実。
発汗することによって少なからず臭いが出てしまうなどの弊害もあります。

本来フィードバック不良を原因とすれば起こるはずのない脇の下からの大量発汗を報告されている方もいます。
その場合、他の部位に比べて臭いが強かったり、シャツの汗染みや黄ばみに繋がったりという悩みが発生するのです。

また、大量に発汗するということは脱水状態を引き起こしているようなものです。
脱水状態になれば身体への負担も大きく、代償性発汗を原因に障害年金を受給するようになった方もいるほどです。

手術する前に考えたいこと

代償性発汗が起こるのは、現代の常識に合わせて考えればETS手術による交感神経遮断を行った場合ということになります。

日帰り手術で交感神経遮断術を行ってくれる病院「おだクリニック」のおだ院長は以下のように説明されていました。

代償性発汗の程度は交感神経遮断の部位に左右されます。
顔や頭の発汗を止めるために高位の第2交感神経を遮断するとほぼ100%の確率で大量の汗が胸や背中から出ることになり、これまでの報告では約10%の割合で手術を後悔していました。
(中略)
当院で行なっている手術は、代償性発汗をできるだけ少なくするように、手汗が止まるできるだけ低い位置、低位の第4交感神経を遮断する方法です。
[出典]胸や背中から多量の汗が出るのは代償性発汗?対策は?

おだ院長は国際交感神経外科シンポジウム(2年ごとに行われている国際学会)や中国多汗症学会において低位交感神経遮断についての招待講演を行っている権威です。

院長先生の言う通り、第四交感神経のみを遮断する低位交感神経遮断なら比較的代償性発汗が少なくなるようです。
ですが、第四交感神経遮断のみでも大量の代償性発汗に悩まされているという患者さんが存在しており、この方法でも100%発症しないというわけではないことがわかります。

また、ETS手術の場合、代償性発汗だけが問題ではありません。
手のひらから全く汗が出なくなるということは、手のひらから汗が出ている時以上の問題を起こす可能性もあるのです。

たとえば全く保湿が出来なくなるので、肌荒れ・皮膚の乾燥などが確実に起こり、ハンドクリームは欠かせなくなります。
それでも手のひらから汗が滴るよりは何倍もマシ、とリスクを承知のうえで手術に臨む方も多いですが、手術を後悔している方がいるという現実も理解しておきましょう。

交感神経遮断の手術をしてしまうと、後戻りができません。
つまり、元に戻すことが出来ないのです。
(厳密には遮断した神経を他の部分に移植する「リバーサル手術」というものもあります)

手術を行う前にも出来る手汗対策はたくさんあります。
手汗用制汗剤や制汗ローション、制汗作用のある抗コリン薬など、後戻り出来る方法を試してからでも手術は遅くないでしょう。

(元に戻すことができる、交感神経のクリップ法という外科手術もありますが、効果の薄さや元に戻すことが困難なことを考えてもおすすめできません)

どうしてもという場合には片側手術によって代償性発汗の程度(両側手術をした場合の半分の発汗量)を知るという方法もあります。

外科的な治療はまだまだ未知な部分があるというのが現状です。
手術費用も高額ですし、再発率は低いとはいえ、再発しない保証もありません。
治療方針を含めてしっかりと担当医とのカウンセリングを行い、後悔のないような手術になるようにしましょう。

もし手汗に悩んでいたらオススメしたい制汗剤3選

手汗に悩んでいるものの、どの制汗剤にしたらいいのか悩んでいる方は、とりあえず以下3つの制汗剤を参考にしてみてください。
それぞれ配合されている成分と商品のタイプが違うので自分の手汗レベルや使うシーンに適したアイテムを選ぶようにしましょう。
制汗剤は手術などとは違い、比較的簡単に手汗の悩みから解放されるためおすすめです。

強い制汗作用が欲しい人向け「デトランスα」

手汗に強い制汗効果を表す、塩化アルミニウムを配合したデンマーク製のローションタイプの手汗用制汗剤です。
塩化アルミニウムは強い効果がある反面、肌荒れなどの副作用が起こる可能性も高いため、日本人向きではないという声も。

公式サイトからの購入で初回分が多少安価に購入することができますが、2回目以降は通常価格での購入となり、並行輸入品ということもあって高額になります。

それでも、肌に負担がかかったとしても強い効果を期待したいという方にはオススメの商品と言えます。

初めて制汗剤を使う人向け「CORKL(コルクル)」

手汗に悩んでいる人のための化粧クリームです。
リニューアルをして肌に対してのやさしさを追求した化粧品になりました。

肌への刺激が少ないように使用成分を厳選、サラサラの肌触りを体感できるように作られているため初めて制汗剤を使う人にオススメです。
(肌への優しさを最優先にしているため消臭成分などは撤去されています)

現在はAmazon、楽天、Yahoo!ショッピングでの販売になっています。

気になる時に手汗を止めたい人向け「farine(ファリネ)」

パウダータイプの手汗用制汗剤です。
ネット通販系の制汗剤においてはかなり知名度が高い商品といえます。

有効成分ACHが手のひらの汗腺を塞ぐことで手汗を止めることができるというもの。
パウダータイプなのでベビーパウダーのように使うことが可能です。

効果は1~2時間と短いため、一日のうちで手汗が気になるシーンの直前に使用するぐらいがちょうどいい方にはオススメです。
公式サイトからの購入で30日間の返金保証が得られるメリットがあります。